Vまん、徒然

北の果ての素人ギター弾き、独り言

ファンキー末吉さんとの夜

爆風スランプやX.Y.Z.→A等で活動され、アジア各地でも活躍されているドラマー、ファンキー末吉さんが、ひとりドラムツアーとしてこの青森市にも来てくださいました。
この日の青森は近年稀に見る猛吹雪のブリザード状態で、地元の人間も外出することに怯むぐらいの天候でした。それまで北海道10箇所を回られていたファンキーさん、キャンピングカーで海を越えて移動の予定の中、津軽海峡を渡るフェリーが欠航。前座で参加させていただく我々鋼鉄節、ハラハラしながら交通機関の情報や速報サイトを注視しておりました。もしかしたら来られないんじゃないかと… そんな中、キャンピングカーを函館に乗り捨てて新幹線でひとり青森へ向かうというファンキーさんの投稿が。物販の荷物もあるでしょうに、凄い。車は、フェリーが動いたら娘さんが運転して移動させるとのこと。私は少しホッとして、仕事を終えるやファンキーさんがもういらっしゃるであろうクォーターへ急ぎました。

前座の鋼鉄節とSWEATS。順調にリハを終え、受付ロビーの机でブログを書き込んでいたファンキーさんにセッションリハのお願いをし、いろいろお話させていただきながら和やかに進んでいきました。既に並べられていた物販から、書籍「日本の音楽が危ない~JASRACとの死闘2899日~」と、ツアーTシャツと、爆風スランプトリビュートアルバム2枚を購入、少しでも売上金の足しにしていただければいいなあと思いつつ。

開演。客席は満席。よかった。声をかけたお客さんがこの超悪天候にかかわらず足を運んでくれました。しかもみんなその日の仕事を終えてから。
一つ目の対バンSWEATS。洗練されお洒落感もありロック感もあるトリオインストバンドで、とても心地いいサウンドでした。いろんなリズムやコードや音色を使い分け、独特の世界にクォーターのお客さんを連れて行った感じです。
二番手、鋼鉄節。前座ということで20分程度に集約し、慣れたセットリストで。出張明けの疲労感からくる睡魔に襲われつつ、しかもビールも飲んでしまい、ファンキーさんの前でやるということへの極度の緊張感と、吹雪の中来てくれたバンドメイトへの感謝の心と、いろんなものがごちゃ混ぜになった不思議なハイのまま、ステージは進行しました。ところどころ、しまった!という箇所もありましたが、それでも楽しみながらできたのではないかと思っています。

本編はファンキー末吉さんのひとりドラムです。
音源に合わせ、ヘッドホンでモニターしながら、片方でクリック、片方で音源を聴いてドラムを叩くのだそうです。いきなり複雑なプログレチックな曲で幕開けです。
このひとりドラムというのは、ファンキーさんいわくライブやコンサートとは違い、物販商品の実演販売というひとつの芸なのだそうです。1曲目を叩き終えた後、その曲の音源と楽譜がセットで売られていることを紹介。そういった具合で、話を絡めながら曲を披露していきます。話も凄く面白くて、ぐいぐい引き込まれていきます。ここでは詳しく書けませんが、中国での出来事、北朝鮮での出来事についての体験談はゾッとする反面、命を懸けて演奏を行い、音楽を教える姿はもっともっと世間に知られてもいいのに、と思いました。披露された曲は思いのほか難曲で、よくこれを向こうの子どもたちに教えられたなぁと驚くものでした。いろんな体験をしてこられ、体を張って音楽に取り組んできた人だからこそ、吹雪ごときで交通機関が麻痺しても動じることがないのでしょう。そこに中止という選択肢なぞ存在しないのでしょう。ドラムサウンドは重く大きく、目をつぶりながら。その、本能の赴くままの野獣のような姿は、今までの生き様が凝縮されているようでした。爆風トリビュートアルバムに収録されている筋肉少女帯バージョンのびっくりミルクも凄かったです。橘高さんの神経の細やかさにも触れ、冒頭のギターのアルペジオ部分は20トラック使っているとの紹介。あの曲が、スラッシュメタルになっていました。盛りだくさんの楽しいお話と超絶な演奏をいったん終えて、メインステージと命名された物販スペースへ移動。インターバルの後、我々とセッションタイム。

爆風スランプの初期の名曲2曲と、我々鋼鉄節アレンジの曲1曲、計3曲を僭越ながら一緒にやらせていただきました。中学の頃よく聴いた爆風スランプ。今回なにをやろうかとまたいろいろ聴きかえしていると、実にいい曲がたくさんあり、さらには今聴くからこその新たな発見もあったりして、音楽は時代を超えるものなんだと思いました。そして音楽が永きに亘って存在するためにはやはり、ある日一瞬で消滅するデータとかではなく、レコードやCDという、半永久的に残り続ける音楽のパッケージが必要だと思いました。


緊張をほぐしてくださったのはファンキーさんのそのお人柄でした。打ち上げもご一緒させていただいて、実にたくさんのお話を聞かせていただきました。一生忘れられない夜が、またひとつ増えました。
まだまだ続くファンキーさんのツアー、どうか病気や怪我などされませぬよう、健康にご留意され、無事の成功を祈願しております。
このたびはファンキーさん、関係者様、来てれたお客様、本当にありがとうございました。


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